【名前】
大塚由祈子(おおつか ゆきこ)
【簡単なプロフィール、略歴】
昭和最後の大晦日に母のお腹を蹴り破水させたのち、「やっぱり平成生まれがいい!」と1ヶ月ほど胎内に引きこもり、人騒がせで天邪鬼な生まれ方で平成元年1月24日に誕生。千葉県出身。身長158cm。
趣味は恋愛少女マンガを読んだり恋愛リアリティショーを観たりしてキュンキュンすること。
特技はダンス。幼少期よりクラシックバレエを始め、小中学生時代は子どもミュージカル劇団に所属し、ICU高校ダンス部・お茶の水女子大学舞踊教育学専攻とダンス漬けの学生時代を経たのち、演劇の世界へ。2019年よりアマヤドリ所属。培ってきた身体能力を武器に、身体表現を多く用いる演劇作品・映像作品に多数出演。
Q1.演劇、俳優を始めたきっかけ
保育園のお昼寝の時間に眠れなくて、布団の中にもぐって、アニメ「怪盗セイント・テール」「ウェディング・ピーチ」等のスピンオフストーリーを自分で考え、ひとりで演じるのが大好きでした。
また、4歳でバレエを習い始めた途端、週末リビングに家族を集め、適当なクラシック音楽を流して即興ダンスコンサートを開催していました(付き合ってくれた家族に感謝です)。
そんな演じることが大好きで、目立ちたがり屋な私を見かねた母が、小学5年生の夏に「アンタこういうの好きでしょ?」と勧めてくれて、千葉市民ミュージカルに参加しました。
初めて演じた役は、ケンカばかりしている素行不良な子どもの役だったのですが、「悪いヤツを全力で演じよう!」と頑張りすぎた結果、本番の映像をビデオで確認したら、ひとりだけ眼光の鋭いゾンビみたいになっていました笑。
ちなみにバレエの発表会でオモチャの兵隊役を演じたときも、「笑顔で踊ろう!」と頑張りすぎた結果、口裂け女みたいだった…と観に来てくれた家族を怖がらせました。
観客は怖がらせてしまいましたが笑、表現することは楽しくて、そのまま演劇の魅力にとりつかれ、小中学生時代は子どもミュージカル劇団、大学では英語ミュージカルサークルに所属していました。
そのサークルには私よりも演技が上手くて魅力的な人がゴロゴロいたので、
「演じることは大好きだけど、私には俳優の才能がないんだな」
と思い、大学卒業後の進路は、表現教育の研究者を志していました。
しかし、卒業論文が全然思うように書けなくて爆発し、留年したり休学したり全力モラトリアムしていた最中(ちなみに大学は7年かかって何とか卒業しました!)、知人が劇団を旗揚げし、公演に出演してくれないか?と誘われます。
そこで久々に演劇をやってみたら、
「ああ、やっぱりお芝居楽しいな…好きだな…」
「下手だけど、もう少しだけ演劇やっていたいな…」
と思ってしまい、「もう少しだけ…」を積み重ね続けて、気づけば今に至ります。
Q2.影響を受けたもの、私をカタチ作ったもの
大学1年生のとき、英語ミュージカルサークルで、
パウロ・コエーリョ「アルケミスト」が原作のミュージカルを上演したのですが、ステキな言葉がたくさん散りばめられている物語でした。
その中でも、私の人生の指針になっていると感じている言葉を、3つ紹介します。
Be aware of the place where you are brought to tears. That’s where your treasure is.
涙が溢れてしまう場所を大切にしなさい。そこに貴方の宝物がある。
Listen to your heart.
心の声に耳を傾けなさい。
There is only one thing that makes a dream impossible to achieve: the fear of failure.
夢を実現できなくするものはただ一つ、失敗を恐れることです。
当時この作品の稽古中に、ふと「心の声に耳を傾けてみよう!」と思って、ふーっとひと息吐いてみたら、その途端に、涙がぽろぽろ止まらなくなってしまって。そのとき別に何か悲しいことがあったわけじゃなかったのに。
でもいつからか、知らないうちに抑えちゃって溜まっていた自分の奥底の感情が、そのとき溢れてきたのかもしれません。ずっと泣きたかったのに、無意識に我慢することに慣れてしまったのかもしれません。私ってこんなに泣き虫だったのね!と驚きました。
最初はそのストッパーを緩めすぎちゃって、少し心が動いただけで涙が止まらなくなっちゃって、「何故そこでお前が泣く…?」と思われるような状況を作ってしまうこともあって大変だったのですが、お陰様でだんだんコントロールできるようになりました。とはいえ、今も涙腺は弱いです笑。
また、失敗を恐れてしまう自分と向き合うために、「インプロ(脚本のない芝居)」を2017年頃からやっているのですが、私をカタチ作った、というか、私のカタチを良い方向に変えてくれた、と思っています。
学生時代は勉強が結構出来る方だったので、ずっと「優等生の大塚さん」的な立ち位置で過ごしてきて、正解を見つけようとする習慣が染みついてしまっていて。それゆえ20代の頃はご一緒する演出家さんに『真面目だよね~』とよく言われてしまって悩んでいました。
だからと言って、脚本を無視して「不真面目にやれ」ってことじゃないから、きっと「もっと自由に演じて」ってことなんだろうなと。そうは思っても、「自由」って、どうしたら良いか全然わからなくて。そんな中、インプロに取り組んで、脚本のないゼロの状態から、相手と、仲間と、一緒に物語を作るチャレンジを何度もして、失敗も楽しめるようになった…というか失敗なんてなくて、いつだってより良くなっていく中の発展途上なんだなと思えるようになって、そしたら自由になりやすくなった、のかもしれません。
失敗を恐れる自分も、自由になれない自分も、油断するとすぐ現れちゃうんですけど。稽古前に頭の中で考えた正解を追い求めるんじゃなくて、いま目の前にいる相手と生まれるものを大切にできるようになってきていると思っています。でもでも「真面目」からは卒業しきれてない気がするので笑、「自由な真面目」に進化しつつある、って感じですかね。
Q3.私の好きなこと:「納豆と豆腐、恋愛漫画etc…」
「好きな食べ物は?」と聞かれたら、「納豆と豆腐」と答えているのですが、「それプレゼントにしにくいね笑」と友人に言われたことがあります。本当に毎日納豆ごはんとお豆腐(冷奴)を食べているんですけど、健康のためとかじゃなくて、好きだから、なんですよね。
もう全く飽きないんです。
ちなみにタカノフーズさんに大変お世話になっておりまして、おかめ納豆・極小粒とおかめ豆腐・絹美人のヘビーユーザーです。おかめ豆腐・寄せ美人が特に美味しいので一度試してみてほしいです。
「ゆっこ、1年中ずっと休まず演劇やってて飽きないの?」と聞かれることもありますが、これ納豆と豆腐と同じ理由かも。好きだから全然飽きなくて、何なら「幸せ最高ありがとうマジで!」って感じです。
あとは恋愛少女マンガが大好きです。
学生時代に読んでいた「こどものおもちゃ」「彼氏彼女の事情」「フルーツバスケット」あたりは私のバイブルです。そして恋愛リアリティショーも大好きで、「バチェラー」「バチェロレッテ」「オオカミちゃんには騙されない」「今日、好きになりました。」などなど結構視聴しております。
恋愛シミュレーションゲームも大好きで、ときめきメモリアルのGirls’ sideは1~3まで全ルートクリアしました。また、姉が女性向け恋愛ゲームのシナリオ開発をしていて、その会社が製作したゲームを全種類やり込んでしまった時期もありました。
そんな風に人様の恋愛模様を覗き見したり疑似的な恋愛体験をしたりして、キュンキュンするのも勿論楽しいのですが。恋愛の何がステキって、相手と向き合って、一生懸命に言葉を尽くしたり行動を起こしたり、まっすぐに気持ちを伝えようとすることだよなと思っています。伝えようとしている人を見ていると、心が洗われるんですよね。ピュアな恋愛模様によってテンションが上がりすぎた夜はエンドレスリピートでAqua Timez「千の夜をこえて」とかを聞いて、好きな人には好きって伝えるんだ♪とか口ずさんだりしちゃいます。
そして信じてもらえないかもしれないんですが、私かなり人見知りなんですね。初対面の人と会ったとき、嫌われるのが怖くて、愛想が結構良い方なので誤解されちゃいがちなんですけど、人を信頼できるようになるまで時間がかかるタイプだと思っています。
でも、1度信頼して心を開いてしまうと、みんな大好きになってしまうんです。好きが止まらなくなっちゃう。それまで「あの人のこういうところ、ちょっと怖いかも…」って思っていたところがあっても、好きになったら全部愛おしく思えてきちゃって。
つまり、人見知りだけど人間が大好き、なのです。
もしかしたら人見知りな私は、自分の身の回りに信頼できる大好きな人を増やしたくて、演劇をやっているのかもしれません笑。
Q4.最近考えたこと、感じたこと:「コロナ前のこと。」
コロナが5類に移行されてから丸1年が経過しましたね。
私は2022年からイマーシブシアター(没入型・体験型演劇)と言われている形式の公演に出演させていただく機会が増えているのですが、観客の方とゼロ距離でお芝居をするスタイルなので、まだ昨年5月の公演は出演者も観客もマスク着用必須のまま本番をやっていたんです。でも今年の春のイマーシブシアターの公演では、当然のように出演者のマスクは無くてOKだし、観客の皆さまも半数近くがマスク無しで参加していて、いよいよコロナ前の日常が戻ってきつつあるのだなと感じました。
そこで最近、コロナ前の自分に思いを馳せるようにしています。
コロナ前に自分がやりたかったことは何だったか?
どんな野望を抱いていたか?
コロナ禍で諦めてしまったモノは?
特に、「コロナだから」という理由で途絶えてしまった交流や繋がりが、私の身の回りだけでも数えきれないくらいたくさんあるなぁと思っていて。繋がりを保ち続けるって面倒臭いことも多いので、つい億劫になってしまうこともあるけど、せっかく人間が大好きな私なので、ご縁を大切に増やしていきたいなと考えています。
例えば2017年の夏、大阪で舞台に出演したときに、関西圏の大学の演劇サークルを回りまくって宣伝させてもらったことがあって。そこでの演劇を愛する学生たちとの出会いが、私にたくさん刺激を与えてくれたので、また大学の演劇サークルを回りまくりたい…!とか思ったりしていますが。そのときの現役の子たちはとっくに卒業してしまっているわけで、またご縁をゼロから作るところから始めるわけです。つい「当時あんなに頑張ったのに…!面倒臭い…!」と思っちゃいますが、腐らずに関東・関西問わず、今年はガンガン若い演劇人に出会いに行きたいです。
みんな、待っててくれよな!
Q5.今回の脚本を読んだ時の感想、印象
あーすけ(阿久津京介さん)から事前に
「ゼヒゆっこさんにやってほしい役なんです!」
と聞いていたので、どんな役が来るのかワクワク期待していました。
そしたら期待以上の役でした。
アキヨに共感するところがたくさんあって、私自身をモチーフにして脚本が書かれたんじゃないかと思うくらい。演劇に出逢えていなかったら、もしかしたら私はアキヨのように生きていたかもしれません。誰かに自分を愛してほしくて、認めてほしくて、なのに不器用で、だけど必死に生きていて、とてつもなく愛おしい人なのです、アキヨ。
アキヨの抱えている欲望・渇望は、全人類に共感してもらい得ると思うので、アキヨのようには素直に想いを表現できない天邪鬼な人にも、アキヨとは違って器用に生きられる人にも、愛してもらえるようなアキヨ像を作り上げていきたいと思っています。
また、作品全体としては、
「これから自分はどう生きていこう?」
「何が自分にとって、社会にとって幸せなんだろう?」
と悩んでいる世代に刺さるモノになるんじゃないかと思いました。
流れに身をまかせて、平坦で安定した生活をずっと続けて長寿を全うする、というのも、ひとつの幸福の形かもしれない、けれどそれで本当に自分は幸せなのかどうか。その幸せは誰かの犠牲の上に成り立っているんじゃないか。今この時代に生きる自分は、社会に何か貢献できないのか。
戦場で命を懸けるとか、何かのために命を落とすとか。そんな風に、自分たちの正義のために危険な運命に飛び込んでいく鮮烈さっていうのは、のんびり長生きしましたという人には絶対味わえないものだと思います。
私自身、役者という職業を選んでいるからには、どちらかといえば長生きしてゆったり過ごすというよりも、あえて厳しい苦難の世界に飛び込んでいる部分はあるかなと。
だから作品の中に登場するデモ隊にも共感できる部分はあるのかな、なんて思いました、けど。
どんなことがあってもやっぱり死んじゃダメだな。
死んだら元も子もないぜ。
Q6.最後に自由にメッセージ
出演者の皆に一言ずつメッセージを送ります。
きゅーちゃん(Q本かよさん)…たぶんこれから一番板の上でお世話になるだろう御方。好きなモノを色々教えておいてください。適宜差し入れします。
けいたさん(鐘ヶ江佳太さん)…髭フェチの私には堪らないビジュです。生まれて来てくれてありがとうございます。お店、そのうち飲みに行かせてください。
おくいずみ(奥泉さん)…いつも恥ずかしくて、直接は素直に伝えられないのだけれど、絡みのある役どころで、こうして再び共演できて嬉しさの極み、なんだぜ。
みなとさん(丸山港都さん)…この方の声を聞いたら、恋に堕ちちゃうのは私だけじゃないと思うの。東京夜光では観られないアツいみなとさん、かっこいいです。
あおちゃん(関口蒼さん)…稽古着がオシャレだなぁと、密かに毎回チェックさせていただいております。気品が溢るるクールビューティー、惚れちまうぜ。
おとちゃん(乙木瓜広さん)…どんな雑な振りもキチンと受け止めて返してくれる天才だってことが分かったので、今後は気軽に雑に絡みに行きます。よろしくです。
さらちゃん(光岡紗良さん)…スタイル抜群で黙ってたらカッコイイのに、口を開いた途端にね、皆さんね、ギャップ萌えで愛さずにはいられなくなりますよ(予言)。
あみちゃん(榊原あみさん)…kawaii。私の女神。稽古終盤で疲れちゃった日あったら、あみちゃんに「大好き」って言って癒してもらうんだ。もう約束したんだ。いいだろ。
◎おまけ◎
あーすけ(阿久津京介さん)…素敵な作品の一部になれる機会を与えてくださり、ありがとうなの。みんなで笑顔で終わりたい!から、頑張ろうねー。楽しもうねー。いぇあー。
◎ぴーえす◎
ご来場予定のお客様…もあダむ『meme』6/26~7/3のどこかで、ゼヒ下北沢シアター711まで観に来てくださいませ。最高の仲間たちと全力で演劇しますので、どうか見届けていただけますよう…!
演出家コメント
ゆっこさんに出会ったのはコロナ禍真っ只中、
ぼくが今でも大好きな『プルーフ/証明』という海外戯曲作品に出演したときでした。
その作品は3チーム編成でお届けしており、ゆっこさんとは別チームだったために共演はしていないのですが、本番を観て、ゆっこさんの役へのアプローチに度肝を抜かれたのを覚えています。
ゆっこさんが演じていたのは主人公の姉、「クレア」という役。
アメリカの大都市ニューヨークで、アナリストとして働いているバリバリのキャリアウーマンです。
ぼくは脚本を読んで、クレアにはどちらかといえばスマートな、インテリな印象を持っていたのですが、ゆっこさんが演じたクレアは、栄養ドリンクを片手に鬼の形相で仕事をこなし、書類を片付ける片付ける。。。その様子は鬼気迫るものがありました。(もちろん他のチームのクレアはそんなことをしていません。)
パワフルでアグレッシブ。
嵐を呼ぶ女。
彼女のお芝居からは、生命が躍動しているのを感じます。
その肉体から繰り出される豊かな感情表現の数々。
「板の上で生きる」ということを、最も体現している俳優だと思っています。
そして何より、彼女ほど愛に溢れた人をぼくは知りません。
いつも丸裸で、まっすぐぶつかってきてくれます。
突き当りの道をまだまだ真っ直ぐに進むような人。
そして、いつまにかそこには道ができています。
今回ぼくが熱烈にオファーをかけて、出演を決めてくれたゆっこさん。
ゆっこさんと創作をしていく中で、ぼくが驚いたことがあります。
例えば、演出をつけていく工程で、
「このセリフは前を向いて言ってください」
「このセリフは間を開けずに言ってください」
と伝えたときに、ゆっこさんは
「それは難しいかな」
と返してくるんです。
ここで言っておきたいのは、
ゆっこさんは、決して「できない」わけではないということです。
そしてもちろん、ただのわがままやエゴで言っているわけでもない。
その証拠に、ゆっこさんはいつも
「今の気持ち的にこういうことならできるんだけど、それはどう?」
とか
「その時の私はこういう気持ちで…」
と、きちんと伝えてくれます。
そして最後には必ず
「とりあえずやってみるね!」
と言ってくれる。
対話をしてくれる。
つまるところ、ゆっこさんは本当に素直なんです。
役として、きちんと考えているからこそ、
板の上で、本当の意味で生きているからこそ、
自分の心に整理がついていないことはやらないんです。
だから信頼できる。
ゆっこさんとの創作は、実に豊かで、こちら側にも気づきを与えてくれます。
一緒に創る。まさしく共作。
そんなゆっこさんに今回演じてもらっているのは、アキヨという役。
本当に愛おしくて、見ていて抱きしめたくなるようなキャラクターです。
情熱的に燃え上がり、華々しく周囲を照らす。
そして儚く散っていくその生き様は、さながら花火のようです。
ゆっこさんのことを考えながら描いた役。
出演を決めてもらえて本当にうれしいです。
稽古も終盤になった今でも
この役はゆっこさん以外にあり得ないと思っています。
「難しい~!」と言いながら、
頭をフル回転させて果敢にトライしていくその姿はきっと、
ほかの俳優にとっても、大きな刺激になっていると思います。
鮮烈な彼女の生き様。
是非ご注目ください。
(阿久津京介)
クラウドファンディングのご案内
もあダむvol.2『MEME』は、
2024/6/26(水)~7/3(水)、下北沢シアター711にて上演されます。
クラウドファンディングにご参加頂くと、
支援者限定で当HP上で公開中の、【稽古場日誌】がご覧いただけます。
(※「出演者を応援コース」を除く)
実際の上演だけでなく、「創作の過程」を併せて体験して頂ければ何よりです。