【もうそうしよう稽古場日誌⑧】最終回!!!演出助手が読み解く本作の魅力を大放出
皆様お久しぶりです!
もあダむvol.3『もうそうしよう』演出助手の髙山です!
読者のうち何人が僕のことを覚えているだろうか…、というネガティブは置いといて…。
本番まで一週間を切ったもあダむvol.3『もうそうしよう』。
稽古もまさに佳境を迎えています。
少しずつ道具が増え、音楽が増え、稽古場に来る人数も多くなってきています。
長いようであっという間の稽古期間も、もうすぐ終わり。
稽古が終わるということは、本番が始まる、ということです。
吉祥寺シアターの入り口が日に日に近づいてくるのを、肌でも、スケジュールでも感じる今日この頃です。

なんて緊張を感じていた数日前。
制作の小山内さんから、
「稽古場日誌の最後は髙山さんから見た作品の見どころを!」
と賜りまして…。
(「記念すべきシメが自分でいいのか!?」と叫んだのも、本番が終わればきっと良い思い出です)
と、いうわけで!
本番まで1週間を切った今作。
その見どころを、僭越ながら自分がご紹介していきます!(書き切れるかなぁ…)
それでは…、
よーい、スタート!
〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜
①虫たちと人間の交流
本作のテーマを話すなら、やはり〈異文化交流〉は外せません。
本作では、虫たちの世界に1人の人間が入り込んでしまう、というところから物語が動いていきます。それはまさに異文化交流。異なる種族、文化のコミュニティと交流していく未知との遭遇。

それは素晴らしいことではありますが、反面、衝突などの問題も多くはらんでいます。
とくに現代においてはSNSの発達の影響で、自分とは異なる存在との距離が近付いたからこそ、この問題は常に自分たちと密接にあります。
そことどう向き合っていくのか。あるいは、乗り越えた先にどんな世界が広がっているのか。
本作は、そんな大きな疑問を投げかけています。
『もうそうしよう』では、空を飛びたいダンゴムシと人間とが出会うことで、ある「共通の目的」が生まれます。
その目的を描くために、本作ではある舞台美術が登場するんですが…。

これが本当にすごいんです!!
だって…、舞台上にまさか、あんなものが…、ねえ?
しかも、あんなやり方で登場するなんて…。
その舞台美術を初めて見たとき、座組みのみんなが「すげー!!」って叫んでましたから。
これはきっと、観に来ていただいた方々にも感動してもらえるはず…!!
一体その美術が、どんな目的を描くために使われるのか。
これはもう、ぜひ劇場で確かめてください!!

また、〈異文化交流〉という大きくて難解な枠組みだけでなく、本作にはもっと身近なテーマも多く散りばめられています。
〈恋愛〉〈友情〉〈親子〉〈コンプレックス〉〈アイデンティティ〉などなど…。挙げ始めたらキリがありません。
もしかしたら、見る人によっては、作り手の私たちすら想像していなかったテーマを見つけるかもしれません。
そういった、『見る人によって引っかかる(テーマに感じる)ポイントが大きく異なる』という点も、本作の魅力の1つかもしれませんね。
②音楽
また、本作の見どころとして欠かせないものの一つが、生演奏です!
音楽を監修してくれたのはマリエ映茉さん!
自分は稽古場で音出し(稽古場で音楽や効果音を流すこと)をしているのですが、マリエさんが作った音楽を流すたびに、体がウズウズとしてきます。
ポップな雰囲気や、思わずノってしまうテンポの良さ。様々な曲をモチーフにした遊び心など、〈耳で聴く楽しさ〉に満ち満ちています。
これらが全て生演奏で聴けるのですから、贅沢なことこの上なしです!
さらに!

今回の舞台では歌唱パートもあり、その歌を通して作品の世界観や登場人物たちの心情も、よりわかりやすく表現されることになります。
総勢16人という出演者たちが、歌によって1つになっていく。
そんな音楽の力を、ぜひ会場で感じてください!
③ダンス
3つ目は、ポップで明るいダンスです!
振付家のmaekonさんがつけてくださったダンスは、〈大人も子どもも楽しめる〉がコンセプトの本作にとてもマッチしています。
舞台でダンスと聞くと、キレのある、一糸乱れぬパフォーマンスがイメージされがちです。しかし、本作のダンスは〈見ていてテンションが上がる〉や〈子どもも踊りたくなる〉といった、あくまで〈楽しい〉を軸に据えたものです。
研ぎ澄まされたスキルで感動を与える、とはまた違う、〈楽しい〉を伝播させていく本作のダンス。
もし子どもたちが多く見に来てくれたなら、ぜひ客席で一緒に踊ってくれたら嬉しいです!

見て楽しく、聞いて楽しく、体感して楽しい。
『ライブならではのありとあらゆる楽しさを詰め込んでいる』という点が、実は本作の1番の見どころなのかもしれません。
〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜
…と、まあ、ここまで作品の中身に関する見どころを書かせていただきました。
しかぁし!!
自分の稽古場日誌では恒例の(いつから?)、そして待望されている(誰から?)キャスト・キャラクター紹介をしなければ終われない!終わりたくない!
ということで、まだ書けていなかったキャストさんやキャラクターを一挙にご紹介させていただきます!
(ペース配分ミスってない? という批判は、ただでさえ体格の小さい筆者がより小さくなるのでお控えください)
― + ― + ― + ― + ―
木村圭介(タイショー)
みんなのリーダー的な立ち位置で、男気あふれる、アリのタイショー。
演じるのは木村圭介さん!
作中ではコミカルかつエネルギッシュな芝居を見せてくれますが、稽古場では広い視野と気配りで、まさに兄貴という感じです。

ある日の稽古終わりに
「今日で髙山くんとすごい距離縮まったわ!」
と言ってくれたあのお言葉。嬉しかったです。
圭介さん演じるタイショーも、時に頼りなく、時に優しく、そして常に(心の底で)誰かのことを気遣っています。
自分は稽古を見ながら密かに、そんなタイショーに憧れています。
石亀明日香(マジメ)
不器用ながらも他の虫たちと関わろうとする本好きのアリ、マジメを演じる石亀明日香さんは、表情の見せ方が本当に素敵です。
今回、吉祥寺シアターという大きな劇場ですが、石亀さんの表情の豊かさなら、たとえ1000人規模の最後列にも届くだろうと思います。
マジメは、決して明るいタイプのキャラクターではありませんが、心の中には、誰にも負けない好奇心が渦巻いています。その好奇心とまっすぐさは、自分も見習いたいところです。
ち・な・み・に…。
タイショーとマジメは対照的なキャラクターですが、物語を進めるブースターのような役割を担っています。2匹がどんなブーストをかけるのか。ぜひ劇場でご覧ください!

石垣エリィ(エリー)
前述の2人をはじめとしたアリ一族の女王、エリーを演じる石垣エリィさんは、舞台上での存在感が半端無いです…! 一言一言にこもった説得力、コミカルな場面でも決して外さないテンポ感。
そして何より、登場するだけでその場を自由自在に染め上げていく表現力は、「圧巻」の一言です。
そしてなんと言っても、エリィさんの歌唱シーンは必見です! 視聴率100%も過言ではありません。
エリィさんが演じるエリーは女王アリ、つまりタイショーやマジメの母親でもあります。
本作では〈親子〉というのも大きなテーマですが、エリーの存在はそのテーマを語る上で外せません。親の温もりをヒシヒシと感じるエリーの言葉を、自分も思わず、自分の母親を重ねて聞いています。

虎子 (トキメキ)
カマキリのトキメキを演じる虎子さんは、熱量が高く、芯の通ったお芝居が魅力です。
また、稽古場では「かっこいい人だなぁ…」という印象から、なかなか話しかけられなかった自分に、虎子さんから気さくに話かけてくれました。かっこよくて、優しい人です。
トキメキという役も一見、強くかっこいいキャラクターに見えますが、その実、純粋で少女のような一面もあわせ持っています。

強い存在(強くあろうとする存在)は、その逆を描くことで強さがより際立つのですが、トキメキも同様。強くてかっこいい。けれど純粋。
そんなギャップに、ぜひときめいてください!
山下真人 (ジョー)
同じくカマキリのジョーを演じるのは山下真人さん!
優しく、温かく、囁かれたらとろけそうなその声は、本作で遺憾なく発揮されています。
そして、それらの魅力は、山下さん自身の内面から出てくるものなんだなぁと、一緒に稽古をしていて強く感じます。(無意識に壁を作りがちな自分に対して、「拓海くんって呼んでいい?」と言ってくださったこと、実はめちゃくちゃ嬉しかったです)
ジョーはクセのあるキャラクターですが、そのクセがまた面白い!
台本を知っているのでもちろん先の展開はわかっているんですが、それでもやっぱり笑ってしまう。悔しい…!

でも、もうその面白さからは逃れられません。今はむしろ、もっと浴びせてほしいとすら思っています。
この逃れられないジョーのクセを、ぜひ会場で共有しましょう!
中野歩(シブヤ)
蝶のシブヤを演じる中野歩さんからは、いつも稽古場での姿勢を勉強させてもらっています。演出からのオーダーを受け取り、考え、表現に落とし込んでいく対応力。疑問や意見を言語化して、相手に伝える伝達力。言葉がクッキリとしていて聞き取りやすく、すんなり頭に入ってくる言葉の明瞭さ。
その全てが自分の目標です。
シブヤはギャルという設定なのですが、時々(悪い意味ではなく)幼さを感じさせる部分があるんです。

それは、真正面から相手とぶつかれるシブヤの強さの裏返しでもあります。ぶつかるから悩み、考え、再び相手と関わっていく。
いまや中野さんご自身だけでなく、シブヤというキャラクター自体が、自分にとっては目標です。
実倉萌笑(ニコ)
てんとう虫のニコを演じる実倉萌笑さんは、立っているだけで目を引きます。「華があるってこういう人のことを言うんだ!」と、初めてお会いしたとき驚きました。

実倉さんは本キャストで唯一の初舞台ですが、すでに“稽古場”という空間に溶け込み、舞台での表現を着実に吸収しています。まっすぐ“お芝居”に向き合う姿勢に、いつもエネルギーをもらっています。
誤解を恐れずに言えば、ニコは物語をグイグイ引っ張ったり、大きなコンプレックスに悩んだりといったキャラクターではありません。
しかし、物語を紡ぐうえで欠かせない〈誰かと誰かを繋ぐ〉という重要なポジションを担っています。今回、そのポジションがとても意味深いものでして…。
本作を観た方とは、ぜひその意味を話したいです!
高丸あやね(ミライ)
蛾のミライを演じる高丸あやねさんは、誰に対してもフラットな姿勢で話をしてくれます。
ですが、穏やかな雰囲気に油断していると、溢れるユーモアで爆笑をかっさらっていきます。
その様はもはや快感すら覚えるほど。

「ここでそんなにギアを上げて後のシーン大丈夫ですか…!?」なんて思っていても、きちんと綺麗に回収していくその手腕…! 繊細な心情の揺れ動きから、大きな感情表現まで幅広く。
「あんな芝居してみたい」と、ちょっと憧れたりします。
ミライはとあるコンプレックスを抱えているキャラクターなのですが、現代では、きっと共感する人が多いんじゃないかな…? 彼女の存在があるからこそ、“虫の世界”というちょっと稀有な本作が、より身近に感じられるんだろうと思います。

原愛絵 (キラメキ)
本作の癒し枠、セミのキラメキを演じる原愛絵さんは、可愛らしい雰囲気で本作を明るく照らしてくれます。何より笑顔がとっても素敵で!いつもキラキラと輝いています。

キラメキは無垢で天真爛漫な子どものようなキャラクターです。キラメキが登場するとどんな場面でも一気に明るくなり、ホッと一息ついてしまう。まるで太陽のような存在です。
(演出助手の2人が、キラメキが登場するたびに「可愛い〜…」と呟いているのはここだけの秘密)
「キラメキと友達になれたらなぁ…」という願いを、何度フィクションの壁に打ちつけたかわかりません。
けれど、そんなキラメキの明るさゆえに胸が締め付けられるシーンも…。
来年の夏、自分はセミを見かけたら、きっとキラメキを思い出すような気がします。
― + ― + ― + ― + ―
以上、キャスト・キャラクター紹介でした!
拙い文章で申し訳ありません。少しでもキャストさんやキャラクターの魅力が伝われば嬉しいです。
実を言うと、もっと書きたいこと、語りたいことは沢山あるのですが…。
さすがに「長すぎる!」と怒られそうなのでやめておきます。(そしていい加減「何様なんだろう」という自問に押しつぶされそう…)
でも、本当に、本当に、素敵なキャストさんたちなんです。
安直で使い古された言葉ですが、誰が抜けても本作は完成しなかったと思います。
このキャストさんたちと本作で関われたことを、心の底から嬉しく思います。
ぜひ、劇場に会いに来てください!!
〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜
さて、この日誌も間もなく終わりを迎えます。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
今お読みいただいているのはエンドロールの部分です。
エンドロールをスキップされる方は、ここがスキップポイントです。
嘘です嘘です!スキップしないで!
映画で言うなら、稽古場日誌は本編前のCMですから!
これから本編始まりますから!
席を立たずに最後まで見てってくださいな!
稽古は幼虫。
場当たりはサナギ。
羽化はもちろん、皆様とお会いする本番日。
夏とともに始まって、夏とともに消えていく。
儚く力強い虫たちの“命”に満ちた物語。
もあダむvol.3『もうそうしよう』
間もなく開演、お披露目いたします。
どうぞ今しばらくお待ちください。
筆者:髙山拓海
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もあダむvol.3
『もうそうしよう』
2025.9.19(金)-22(月)@吉祥寺シアター
作・演出:阿久津京介
《キャスト》
銀ゲンタ
三好紗椰
カワノヨウタ(様相)
木村圭介
石亀明日香
石垣エリィ
鍛代紘夢(悪夢倶楽部/TC夜明け)
谷口継夏
山下真人
虎子
中野歩
実倉萌笑
高丸あやね
原愛絵
桜木梨奈
阿久津京介
(敬称略)
📝公演詳細
https://moredom-play.com/infomation/vol3/
🎫チケット予約はこちら!
https://ticket.corich.jp/apply/393818/
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