【もうそうしよう稽古場日誌③】立ち稽古始まる!
おはようございます。こんにちは。あるいはこんばんは。
もあダむvol.3『もうそうしよう』演出助手の髙山です。
稽古場日誌も第3回目。自分が担当するのも2周目になりました。
いやー…、早い。
回ってくるスパンが早いです。
この早さだとあっという間に本番ですね。
1回1回の稽古を大切にしたいと思う今日この頃です。
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さてさて、今回の稽古場日誌のテーマは『立ち稽古』です!
演劇の立ち稽古とは、読み合わせの次にやってくる過程です。
台本を読み、この台本をどう立ち上げていくのか。
それらを読み合わせで共有したら、次は平面だった台本を立体にしていきます。

俳優さんが実際に立ち、動き、相手と言葉を交わしていく。
身体と言葉をミックスさせて、舞台の上に落とし込んでいく。
この過程が1番“可能性に満ちた時間”で、
1番“苦しい時間”だったりします。
立ち稽古は「永遠にやってられるんじゃないか?」と思うほど終わりのない過程です。暗闇で宝物を探すが如く、やっては直し、やっては直しを繰り返し、演出家からのOKでようやく舞台に乗せられます。
わずかな視線の動きにも、多様な意味を持っているのがお芝居です。
だからこそ、立ち稽古でどれだけ土台を固められるかが、この先の稽古に大きく影響してくるんです。
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前置きが長くなりました。
『もうそうしよう』の話に戻って稽古の様子を…。
……って、もう立ち稽古に入ってる!!

早い!(2回目)
そんなスピードで進んで大丈夫か!?
車なら一発免停だぞ!?
──という心配はどこ吹く風。作品は驚異的な精度でグングン立ち上がっていきます。
「こうしてほしい」という指示を的確にくり出す演出の阿久津さん。
その指示に自分の考えをプラスして返す俳優さんたち。
まるで心地良いセッションのように、お互いに創作の音を奏で合う。
なんて素敵な稽古場だろう…!
立ち稽古のなかで、阿久津さんはインプロという手法を用いることがあります。
インプロとは、決められたセリフ・動きのない、俳優さんが即興で作っていくお芝居のことです。
阿久津さんが大枠となる設定を伝え、それを俳優さんたちが実際に立ち上げていきます。もちろん、本筋となる台本にはないシーンが生まれるのですが、それがとても面白いんです!
実際の台本にも還元できることが見つかったり、キャラクターの輪郭がくっきりしてきたり。稽古場でしか見れないキャラクターたちがたくさん見れるんですよ! これはもう、ちょっとした二次創作では!?(本家がやってるからおそらく違う)
こういうキャラクターの色んな側面が見れるのも、稽古場の醍醐味ですね。
インプロをやったあとの立ち稽古は、やっぱりシーンにも張りが出てきます。
これから改稿もあるそうなので、どうなっていくのか楽しみです!
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ここで少し、本作についてお話ししたいと思います。
舞台は虫の世界。いろんな虫が種族関係なく(なくはないか…?)共存している、虫たちだけのコミュニティ。そこへ、1人のニンゲンを乗せた飛行機が不時着したことをきっかけに、虫たちは様々な悩みをぶつけ始める──。
……というのが本作の大枠です。
本作の主人公となるのは、ダンゴムシのナナシ。
演じるのは銀(しろがね)ゲンタさんです!
ナナシは空を飛びたいという夢にむかって、真面目に、ひたむきに努力し続けています。そんな彼がニンゲンと出会ったことで、周りの虫たちにも様々な影響が現れてきます。
銀さんは読み合わせの段階で、すでに「ナナシだ…!」と思うような説得力を持っていました。銀さんが演じるナナシが物語の中心なのは、とても納得できます。彼のひたむきさは、誰かの心を動かし得る。そんな説得力に溢れているんです。
まっすぐさと、自分の夢への葛藤とをあわせ持つ、少年のようなナナシ。(虫なので年齢不詳ですが)
彼は空を飛ぶことはできるのか? あるいは、飛ばずに別の道を選ぶのか?
その答えはぜひ劇場でご覧ください!
続いて紹介するのは、トンボのカチキとキリギリスのホップ。
演じるのは、それぞれ鍛代紘夢(きたい・ひろむ)さん、谷口継夏(たにぐち・けいか)さん!

この2人(2匹)のやり取りには、稽古場でいつも笑ってしまいます。
荒々しいカチキと、どこか達観しているホップ。凸凹コンビの称号が相応しい2人(2匹)ですが、本作のリズムを生み出す大切な役どころです。
カチキとホップを見ていると、「あー、こういう人(虫)たちと仲良くなれたらなぁ…」という気持ちがムクムク湧き上がってきます。一生懸命なのにバカバカしくて(一生懸命だからバカバカしい、ともいう)、一緒にいると楽しくなれる。学生時代に〈遠巻きに憧れていた楽しそうなことをしているグループ〉を思い出します。(いまだに憧れがあります)
そんな2人(2匹)の勢いに、ぜひ劇場で呑まれてください!
──と、まあ、こんな感じでキャラクターの紹介をしましたが、いかがでしたでしょうか…?
できれば、これからも少しずつ本作のキャラクターや、演じる俳優さんたちを紹介していきたいと思います!(伝わる文を書けるかだけが不安ですが…!!)
どうぞよろしくお願いします!
……では手始めに。
あるいは最後に。
もあダむの主宰であり、本作品の作・演出でもある阿久津さんについてお話したいと思います。

優しく、誰でも受け入れてくれそうな柔らかさを持つ阿久津さん。演出のときは、相手を否定することは全くなく、演出的な要望と他者の意見の肯定とを絶妙なバランスで使っています。これ、簡単なようでかなり難しいスキルなんです。(勉強させていただいております…!)
しかも、誰とでも朗らかに話しつつ、相手への配慮と感謝を忘れません。
「こういう阿久津さんだから、今みたいな稽古場ができてるんだ…!」
なんてひっそり、隣の席で思っております。
柔らかくてクリエイティブ。
穏やかだけど芝居への熱がハンパじゃない。
そんな阿久津さんと、この企画を通してもっと色んなお話ができたら嬉しいです!
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さあ、創作の大空へと羽ばたいた『もうそうしよう』。
これからどこへ飛んでいくのか。
次回の稽古場日誌は再び中川さんにバトンタッチ!
どうぞお楽しみに!
筆者:髙山拓海
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もあダむvol.3
『もうそうしよう』
2025.9.19(金)-22(月)@吉祥寺シアター
作・演出:阿久津京介
チケット予約受付中!
https://ticket.corich.jp/apply/393818/
《キャスト》
銀ゲンタ
三好紗椰
カワノヨウタ(様相)
木村圭介
石亀明日香
石垣エリィ
鍛代紘夢(悪夢倶楽部/TC夜明け)
谷口継夏
山下真人
虎子
中野歩
実倉萌笑
高丸あやね
原愛絵
桜木梨奈
阿久津京介
(敬称略)
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