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7/19。
先日に引き続き、阿久津自ら書いております。
稽古場助手目線の…と謳っておきながら、趣旨とずれてしまい申し訳ありません。
みなさんも、どうかお身体にはお気をつけて。ぼくも気を付けます。

さてさて。
個人的には今日の稽古をとても楽しみにしていて。
というのも、Twitterでも呟いたのですが、本日からマミ役:朝倉真琴さんが稽古に本格参加だったのです。

というわけで今日は、朝倉さんのシーンを中心に
改めてシーン稽古(抜き稽古)を行いました。
別現場の本番を終えて僅か2日後とのこと。すごいタフネス。

(朝倉真琴さん。とっても良い笑顔です。)

■内容

物語冒頭。
今作の主人公・ナオ(春山椋さん)と壮絶な会話を繰り広げる最初の場面

自分の話にはなってしまうのですが
演出助手の2人も言っているように
恐らくぼくはかなり細かい部分までこだわって演出を付けていくタイプで。
表情や間(ま)、身体の方向や声の大きさに至るまで、常にこだわって調整しています。
もちろん、これは無意味にやっているわけではなく。
すべては、お客様に的確に届けるためです。

あくまでも「創作=虚構・フィクション」。
だからこそ、その中でいかにリアルを創りこめるか。
そのこだわりは、必ずお客様にも伝わると思っています。
「神は細部に宿る」とも言いますしね。

話を戻します。

物語冒頭。
お客様にとっては
「どんな物語なんだろう」
「何が繰り広げられるのだろう」
と胸をいっぱいにしながら観るシーン。

逆に言うと、
そこでお客様を掴めなければ、惹き付けられなければ、お客様の心が離れてしまう。
そういった意味では、ここが今作で最も重要なシーンだといえます。

ただでさえ難解な役。設定。
加えて、その至る所にぼくの細かい演出が入る。
ぼくの表現したいこと、伝えたいこと、意図、言葉。
俳優たちは、そのすべてを汲み取ろうとしてくれている。
感謝しかありません。

(ナオ役:春山椋さん。これまた良い表情。)

■ぼくが求めているもの

実はこの作品、物語冒頭と物語ラストで作品としての、「とある仕掛け」をしているのですが、
そこがやはり俳優を苦しめました。
ここでぼくが求めたのは「リズム」「テンポ」

読解ができていないと
セリフを一言一句自分の中に落とし込めていないと
シーンに飲まれる
演じている俳優たちは、そんな感覚があったと思います。

しかし、客観的に見ていて
トライアンドエラーを繰り返しながら
何度も止められながら
何度も何度も
果敢に向かっていくさまが美しくて。
尊くて。
なぜだか泣きたくなりました。
全然そんなシーンじゃないんですけどね。
でも本当に。

(作中の とある場面。良いシーンになると思います。)


稽古は13時から始まり、途中何度か小休止を挟みながらあっという間に6時間。
19時からはケンジ役・越前屋由隆さんも合流しての稽古が始まりました。
稽古は21時までです。

■変化

ケンジとのシーンでは、
冒頭と うってかわって、テンポやリズムではなく「質」を重視しました。
我ながらハードな演出だと思います。
にもかかわらず、みんな本当によく集中してくれた。

ベテランである越前屋さんに助けられながら
時には反発しながら、迷いながら
ゆっくりと、しかし確実に歩みを進めていきます。
その中で、朝倉さんにびっくりするような変化がありました。

朝倉さんは、どちらかというと表出するエネルギーの少ない、控えめな人柄なのですが(あくまでも個人の感想です)
稽古終盤、越前屋さんとのやり取りの中でそのリミッターが外れた
声は大きくなり、動きがクイックに。
伝えようという意思が、感情が溢れた

ああ、これなんだな。
一緒に創るって、こういうことだよな。

■創作について

ある日の稽古で、ぼくの演出に対してキャストからこんな言葉が出てきました。
内容をかみ砕くとこんな感じです。

「演出の意図はわかる。言っている意味も理解できる。だが、役としてはそう思えない。」

脚本を書いたのはぼくです。
全体のバランスや構成をはじめ、細部に至るまでこだわり尽くして書いた脚本です。
しかし、そのぼくの意図を、その俳優は超えてきた
驚きました。
同時に、なんとも言えない嬉しさがこみ上げてきました。
キャストが脚本と向き合い、役として考えた結果、この脚本の可能性が広がった

「このメンバーでならぼくの頭の中で描いていたもの以上の作品ができる。」
そう強く感じました。

当然のことかもしれません。
同じ作品でも、同じセリフでも、
演じる人が変われば受ける印象が変わります。
でも、それってすごいことだと思うんです。
それぞれが「考えて」
自分を重ねて
1から創っていく。紡いでいく。

■まとめ

朝倉さんに「マミ」という役を振ったことの意味。
相手役に越前屋さんを選んだことの意味。
この7人で旗揚げ公演を行う意味
それをひしひしと感じる日々です。

本当にこのメンバーに託して良かった。
心からそう思います。


本番初日まで残り2週間
その転換点での、大きな1歩

(稽古後にパシャリ。やはりタフである。)

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